今週は新作を発表したPEDAL.E.Dの星野さんにお話をうかがいました。PEDAL.E.Dは中目黒にショップがあり、星野さんは普段ショップを運営しながら、もうひとつのブランドであるCirculationも手がけています。学生時代にコネクテッドに遊びに来たこともあり、PEDAL.E.Dの立ち上げの時にコネクテッドでの取り扱いをすすめてくださいました。
◎まず星野さんご自身のことを教えてください。Circulationはどんなブランドなのですか。
星野:街着できるフェス服とでもいいたいんです。街で着ていても生活していても音を感じられるエッセンスを入れていきたいと常々思っています。
◎コネクテッドでも去年Tシャツをセレクトさせていただきましたが、素材的にもオーガニックなものを使っていますよね。
星野:はい。もともとオーガニックだとか、草木染だとかがいいと思った初めてのブランドがCirculationだったんです。Circulationは先輩が立ち上げたブランドで、自分は客の立場として好きだったのですが、洋服が好きで学校に行って勉強をして仕事を探している時にその先輩にっ声をかけられて入る事になり、その後その先輩に代わって自分が引き継ぐことになりました。
◎実にいい入り方ですね。そして最初はCirculationとしてお店をオープンさせた。そんな星野さんとしては、社長でありCirculationのメインデザイナーでもあった鈴木さんからPEDAL.E.Dを立ち上げたいといわれたときにはどう思ったんですか。
星野:鈴木が好きで自転車に乗ってるのは知ってたんですけど、もうひとつブランド始めて、しかも自転車スか?みたいな感じで正直半信半疑でしたけどね。でも新しいアプローチって好きなのでやってみましょうよと。それで自分がまずわからなければ人に説得力もなくなってしまうので思い切って今の自転車を買いました(笑)。
服としてはCirculationと共通する素材を使いながら自転車に機能を特化したつくりになっているので、これはいけるんじゃないかという実感も後からわいてきたんですけどね。
◎立ち上げから一年が経ちましたが、反応はどうですか。
星野:お店の前に自転車が止まる率が増えましたね。マウンテンバイクもロードもクロスもピストもどんな自転車でもいいんですけどいろんな自転車が止まるようになって店前が駐輪場のようになる事が増えました。いろんな自転車に乗る人が来るのでいくら勉強しても知識がついていけませんね(笑)。
でも外に自転車が止まっていても店内は自転車もなければただ洋服がおいてあるだけで、うちの洋服は街着できる自転車ウエアという部分があるため、ぱっと見た目にはそれとわからない事が多いんですよ。
なのでいろんな機能を盛り込んであることをまず最初は説明しますね。
◎なるほど、コネクテッドでも扱わせていただいて実感したんですけど、PEDAL.E.Dの服は自転車に乗るための機能にかなり特化してるんだけど、フィニッシュとしてはあえて一見それとはわからないようにしてある。ベンチレーションが効いた服もホールの部分は隠れていてわからないようになってるとかね(笑)。その辺が絶妙ですね。
星野:今週納品になったカーゴパンツなんかはまさにそうですね。自転車を降りた後も不自然じゃなくそのまま仕事できる感じという事で定番になってきました。
◎あとPEDAL.E.Dの場合はあえてローテクをうたって自然素材をベースにおいているのも他にない特徴だと思いますけど。
星野:お客様にもこんなの待ってましたと言われましたね。ハイテクなサイクルウエアは世の中にあるんだけど、そうじゃないのを探してた、、みたいな。もうみんなヘンプだとかオーガニックだとか普通に着てるじゃないですか。それがそのままで自転車の機能を持たせたというのがうちの服なので。
◎お店はCirculationもあり、PEDAL.E.Dもありでライフスタイル的に重なってる部分がある感じですか。例えばフェスにいってる人の中で自転車の乗ってる人がいたとか。。
星野:あ、やっぱりいましたね、思ってた以上に。。それで今度フェスに自転車で行こうかみたいな話しで盛り上がったりとか。
◎ウチでもそうですよ。両方の遊びを楽しんでいる人がいる、自分自身も自転車を買ってだんだんそうなってきたし。
星野:あと、一番重要というか自分達が感じるのは自転車乗ってて楽しいもあるんですけど、エコ魂があるんですよ。Circulationもエコ服
という部分もずっと打ち出してやってるんで、多分そこは一番大きいと思うんですね。
ウチのショッピングバッグが全然減らなくなったんですよ。 自転車乗る人って必ずバッグ持ってるんで、昔よりも発注数減ってるんです。自然にやってることなんですけど、全てエコに通じてる。バイク乗ってた人が自転車の乗り替えてる人がいたりとか。いわなくてもその辺は伝わってるのかも知れないです。
服もリメイクだったりとかしてるし、あとは自分の自転車もリユースじゃないですか。完全に自分はエコ車で組んでもらったんですよ。人が使ってないパーツとか全部中古品で集めてもらって。その辺もPEDAL.E.Dのアプローチとしては続けていきたいですね。
◎なるほどですね。自分は深く考えずに新品を買ってしまいましたよ。周りの人はパーツを選んで組んでもらってる=中古の部分もあるというのは知ってたんですけど、ただ知識が足りなくてそこまでこだわりきれないだろうと思って諦めちゃったんですけど、甘かったですね(笑)。
そういう意識を持って入ったら自転車によりいっそうエコな角度から入れましたね。
そうか、リユースリサイクルカルチャーという側面があったのか。。。いやいや目からうろこが落ちる思いです。
星野:うちはずっとリメイクものはやり続けているんでね。もったいないと思いますね。いいものが埋もれているのは。
今週は先週の入荷分からスタートした新ブランドPEdAL.E.D.(ペダル アー ディー)のデザイナーである鈴木秀人さんにお話をうかがう2週目です。(先週分はコチラ)
「PEdAL.E.D.は自転車と一緒の時間を楽しむ」をテーマにハイテクではなく、あえてローテク素材のヘンプコットンや綿麻、またはユーズドのリメイクなどを使用したナチュラルサイクルライフを満喫するためのウエアです。
― 先週はDCブランドでご活躍された時代からご自身のブランドをはじめられるまでのお話をおうかがいしたのですが、ご自身での服作りにいたっての距離感というか想いの違いのようなものをお聞きしたいのですが。
「再び服作りを始めたときは、まずCIRCULATIONというブランドで始めたんですが、ストリートファッションの時代だったんですよ。
で、僕の中ではストリートファッションというと理解しきれない部分があったんで、若い人と組んで、あっそういうことなんだ、などと試行錯誤していたんです。
で、その頃のものはストリートファッションだったんですが、等身大の僕自身とは次第にかけ離れていったんです。
で何年かたった頃には、何だか俺は完全に違うものが欲しくなってきちゃったぞって(笑)。」
― はっきりしちゃったんですね(笑)。
「まてよと。なんだか全然リアルクローズな部分じゃなくなってるんじゃねーの、みたいな。
で、リセットするには5年目だしいい機会じゃないなかなと思って、何がほしいんだろう、何が着たいんだろう、俺はどういう生活をしてるんだろう。というところから始めてたら、まず自転車乗り始めてた。
でも自転車乗っていて着たい服を捜しにいってもパタゴニアとかじゃないだろう。。。」
「僕は別荘を建てたりしてたので木とか自然とか好きなんですよ。なので鉄筋の家を建てるんじゃなくて、木を使うような感覚で自然の素材を使って機能のある服を作ったら俺は着る、
じゃ自転車乗ってる人なら着るだろうと。。。
でもそういう目線でパタゴニア行ったりしてもそういう商品てないんですよ。オーガニックな素材でサイクルジャージとかあるのかなと思ったらないんです。
かといってシマノとかの自転車メーカーが出すとは思えないし。
だったら自転車のってる人で着るものに困ってる人いるんじゃないかなと思い、自分のライフスタイルにも合致してるということでこれは絶対リアルクローズになると思った。」
― 鋭いですね。ストーンときたんですね。
「あとはリメイクとか好きなので、軍モノをリメイクしてストリートウエアにしてるところは多いけれど、軍モノをリメイクしてサイクルウエアにしてるところは見たことないなと思って、もしそういうものがあったら僕は着るなと思いました。
ということで軍ものリメイクと綿麻などローテク素材を使ってサイクルウエアにしたものをPEdAL.E.D.としようと。」
― 本当にじっくり練りあげてこられたんですね。
「いやいや練りましたね(笑)。自転車に乗ってる間が一番ヒントが出ますかね。やっぱり乗ってる時に着る物が想像がつくし、乗ってる時にこの季節はこの素材があったらいいなとか。そういう意味では生活の中に自転車が必ず入ってるんでリアルですね。」
― 自転車に乗り始めたきっかけというのは、トータス松本さんとか影響があったんですか。
「さすがに年なんで体を鍛えなくちゃいけないんじゃいかとか、かといってスポーツジムに行ったりする自分が想像ができないんで(笑)、トータスにご飯食べながら相談したら、
「俺もそうなんよ。この前体動かしたいって清志郎さんに相談したら自転車のれーっていわれて自転車こうてんや、だからお前も買えーっ!」
「なるほどね、自転車ね。自転車ってマウンテンバイクでしょ?」
「マウンテンバイクじゃだめだろ。ロードだよロード、ロードじゃなきゃ清志郎さん許さねえぞ(笑)。」
― 清志郎さんとかは自転車ルックになったのがホントに早かったですもんね。
「はやかったすね。でも清志郎さんの場合はサイクルスーツじゃないですか。
で、どうなのお前ああいうの着る?っていっても、着ないということになって、清志郎さんは清志郎さんの世界があるからいいじゃん、そこまで追っかけるのはやめようよって(笑)。」
― ま、そうですよね(笑)。
「僕は清志郎さんとはお話したことないんですけど、トータスは清志郎さんのこと崇拝してるんでそこからのエネルギーがこっちにも伝わってきちゃう(笑)。」
― すごい影響力ですね。カリスマというのはそういうものなんですね(笑)。でもいい影響を受けてますね。
「清志郎さんが入院したじゃないですか。で、その時もトータスがものすごい落ち込んでるんですよ。
で、大丈夫だから、絶対戻ってくるからって励まして、自分も清志郎さんの曲iPod に全部入れて行きかえり毎日聞いてたんですよ。それでようやく退院してもらったんで、あ、本当によかったなーって思ってね。」
PEDAL.E.D.商品ページ
今週は、今回の入荷分からスタートした新ブランドPEdAL.E.D.(ペダル アー ディー)のデザイナーである鈴木秀人さんにお話をうかがいました。
PEdAL.E.D.は自転車と一緒の時間を楽しむ」をテーマにハイテクではなく、あえてローテク素材のヘンプコットンや綿麻、またはユーズドのリメイクなどを使用したナチュラルサイクルライフを満喫するためのウエアです。
このブランドは鈴木さんご自身の長い人生経験に基づいた洋服作りへのあくなき試行錯誤から生まれてきた、とても奥の深いものだという事がお話をうかがって伝わってきましたので、今週と来週の2週に渡ってのインタビューとさせていただきます。
― 鈴木さんが洋服に関わられたきっかけを教えていただけますか。
「小学生の時から家庭科が好きでしてね(笑)。ちくちくやるのが好きだったんですよ。あとお昼の時間にテレビでやる15分くらいのファッションショーの番組が好きだったりして。今思えばあの頃からだったのかなあとおぼろげながら思いますけど。」
― ありましたよね。ショーの番組。覚えてますよ。
「でもやはり小学の時からサッカーに夢中になって実業団のサッカーチームまで入りました。で、そこで4年間やった後になってこれからどうしようかなと先のことを考え始めたときに、親の勧めで貯金をしていたので「よし、これをもって東京へいっちゃえ!」と決心をして会社を辞めて専門学校に入りました。」
― ずいぶん思い切りましたね。
「はい、それで卒業したのでその頃からジュンコ・シマダの夜のアルバイトにいったんです。」
― えっ?夜のアルバイト??
「夜といっても学生なので4時ごろからでしたけど、あの頃のDCブームのアパレルは夜の12時までは夕方みたいなもので(笑)、3時くらいになるとそろそろ帰るかみたいな、そういう生活をしてました。でもそこにいくとお弁当も食べさせてもらえるし、本物のパターンもあるし、コレクションに出すような生地も見れるしということでそのまま試験を受けて入社しました。当時はDCブームで、200枚ものデザイン画が入社試験にへの応募としてあったそうなのですが、上位になると(シマダ)先生が自身で選ばれて、その中で最後の一枚に選ばれたんですよ。」
― おお!!すごいですね。
「そこからニットをやってカットソーをやって、その後布帛も見るようになった頃、経営もやらないかといわれてマーチャンダイザーに持っていかれました。そうなると数字が絡むようになったりもして、海外に生地を買い付けにいったりしてと結局14年もいたんです。」
― おつとめご苦労様さまでした。 |
「で、その後、会社が解散することになって、ちょっと疲れが出てもういいかなと思って洋服をやめちゃったんです。そうしたら、知り合いが別荘を建てる仕事を手伝わないかということになって、その仕事を3年やりました。そこでもいろいろな人に出会ったのですが、その中の一人がトータス松本でした。彼とはとても意気投合したのでゼロから作ってあげたいと思って、別荘地に半年泊り込んで作り上げました。そこから付き合いです。」
― ちなみに場所はどこだったんですか。
「清里です。で、喜んでもらったら一段落ついた気がしちゃって、木をいじっていたらなんだか糸をいじりたいなと思うようになって。。。やっぱり洋服やりたいなーと。」
― 戻ってこられる気になったんですね。
「はい。で、こつこつとお金をためて、企画から卸を始めたりしたんですけど、中目黒のビルの一階にガレージがあって水もないし電気もないんだけど、中だけいじらしてくださいと頼み込んでお店をはじめたんです。」
― それは何年くらい前のことですか。
「4年位前です。で、今はお店は別に移したんですけど。自分の生活の中で体を鍛えたいなと思っての取っ掛かりが自転車だったんです。それをトータスに相談したら、こんな服がええなあ、とか出てきたりして、サンプルを作っては試し作っては試しを繰り返して1年弱くらいかかってこれだなあというのが出来たので、この春からお店も改装してPEdAL.E.D.として立ち上げました。」
― 長い道のりでしたね。じゃ会社員をやられて仕事をされた時と、再びこの世界に戻られた時とでは味わいが違うものですかねえ。
「違いますね。まず自分がデザイナーをしたくて会社に入って最初はすごい楽しいですよね。でも14年勤めて最後の5年くらいは数字のことが絡んできちゃうと現実を見ちゃうじゃないですか。あー、なんか違うような気がするなあって(笑)。だからちょうどよかった気がしますね。」
ということでですね。来週は、鈴木さんがご自身で始められてからのものづくりの追求、PEdAL.E.D.とはどんなブランドなのかなどについておうかがいしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
今週はバッグや小物から入荷したPEdAL.E.D.ですが、いよいよ来週はウエアも入荷してきます。皆様どうぞお楽しみに。
PEDAL.E.D.商品ページ
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