今週はファッション情報を離れて「屋久島~わたしの中の水とつながる~」というCDを発売したVOID OV VOIDの谷崎テトラさんのインタビューをお送りします。
テトラさんはミュージシャンとてさまざまなユニットを組んでライブやCD などの活動を行ったり、構成作家としてテレビラジオなどでサステナブルなライフスタイルを送るための提案を精力的にされています。私にとっても常にテトラさんのブログをチェックしてより地球に優しい生活を送るための情報を更新している、ご意見番的お方です。
今回のCDは屋久島で収録されたほぼ自然音のみの構成で、自然音ものの常識をリセットされる心地よい聞き心地でいつの間にか浄化された気分になってしまう不思議な作品です。
ということで入荷記念に制作の舞台裏のお話をお聞きしました。
◎屋久島に行くことになったきっかけは。
TETRA:TOKYO FMの環境の特番をつくることになって、「木を植える」というテーマの下に深い森の中でフィールドレコーディングした番組にしようということにとなったんです。
番組自体は坂本龍一さんと中沢新一さんと「木を植えましょう―Sustainability & spirituality」という本を書かれ、25年間自給自足の生活をしている森の哲学者・正木高志さん、みずからアースウオーカーを名乗り実際に木を飢える生き方を発信している中溪宏一さんが出演しました。中でも坂本さんが、とにかく水の島なのでぜひそこにいって水の循環を体験してみたらいいよ、ということをいってくださったので番組班は屋久島に取材に向かうことになったわけです。
屋久島は一ヶ月に35日雨が降るといわれるくらいに雨が多い場所で、島のどこにいても耳を澄ますと水音が聞こえるということで水をめぐるサウンドスケープを録ってみたいというのがこの取材の一番の目的でした。
番組は、最初渋谷の街にただずんでいるシーンから始まり、足元のコンクリートをはがすとそこには土があり、それは縄文時代の大地へもつながっている~という具合にアースダイバーしていくといつの間にか、屋久島の自然の音に囲まれたシーンへと変わっていくという展開で、ほとんど音楽をかけずに屋久島の自然音と語りだけで構成していき、最後に一箇所だけテーマ曲のようにアクロス・ザ・ユニヴァースがかかるという内容になりました。
◎ラジオとしては画期的な企画ですね。
TETRA:はい、その取材を通して僕にとっては初めて行った屋久島に深い感動があって、録った音源を別の形でリリースしたいという事で形になったのが今回のCDというわけです。
◎ 今回の作品で工夫を凝らしたポイントはどんな点ですか。
TETRA:普通自然音のCDって定点観測、どこか一箇所でずっと録っているというものが多いのだけど、今回はそういうものとは違う深いチルアウトな体験を出したいと思い、いろんなところで録った水の音をミックスしていって、いろんなシーンが少しづつ変わっていくような流れにしました。
朝、日の出前に森の中に入っていって水音を録ったりしてるんだけど、日がさしてくる頃になると鳥が鳴き始めたりとか、水場から離れて見晴らしのいいところにいったりとかといった具合に変化していく。。。
◎ 音自体の気持ちよさがありますよね。
TETRA:一つ一つの音に微細なエレクトロニカ風味というか、イコライジングとかすかなサウンドエフェクトをかけています。
◎ そうですよね。きいててかすかなリバーブ感みたいなものがあって心地いいなと思いました。
TETRA:そう、例えばポチャーンというしずくの落ちる音をオンマイクでとって深いリバーブをかけて実際のサウンドスケープにかぶせたりとか、、
いろんな音のオブジェクトがマルチミックスされている。それにカリンバの音、シンセの倍音とか鈴の音とかのアナログ音をあくまでにサウンドスケープ的にかすかにかぶせたりもしてアンビエントミックスワールドになっているんです。
◎ だから音が自然に立体的に感じるんですね。じゃアルバム全体隠し味がいっぱいなわけですね。
TETRA:そう、なのでVOID OV VOIDの初のリミックスアルバムということになっています。
あと、CDで42分のサウンドスケープをフルサイズでというのが僕達の一番きいてほしいスタイルなのだけど、それ以外に
10分くらいの3種類のミックスをiTunes Music Storeでダウンロード販売して聞けるようにしています。それはiTunes Music Storeでしか聞けない。
でもiTunes Music StoreではCDサイズの42分のダウンロードはできないからCDはCDでしかきけないバージョンというふうに分けています。
あ、そうそう、ちなみにこのCDは実店舗ということでは今のところコネクテッドでしか販売していません。
◎光栄かつ責任重大です(笑)。
◎タイトルも何か意味ありげですが、、、
テトラ:はい、タイトルには「私の中の水とつながる」とあります。
ちょうど僕達が屋久島に音を録りにいったのと同じ時期に写真家の嵯山ゆりさんも屋久島に写真を撮りに行っていたんですよ。全然お互いそうとは知らなかったんだけど、一日かぶる日があったくらい同じ時期で。
◎テトラさんと嵯山さんは旧知の仲で、以前に「トランプの秘密」という本を紹介してくださった時にも、雑誌の取材で一緒にセドナに行かれたといってましたが、再びシンクロしたんですね。
テトラ:そう。それで嵯山さんがその時の写真を使って写真展をやりたいということになって、それが「私の中の水とつながる」だった。
屋久島は水の島といわれ、人間の体も3分の2が水ということで、自分の中の水と屋久島の水が体の中でつながるというのが嵯山さんのコンセプト。そこでその写真展の会場音楽としてこのとき録った屋久島の音源を使い、逆に嵯山さんの写真を僕達のCDのジャケ写として使わせてもらえることになったんです。
屋久島の写真というと縄文杉とかになると思うんだけど、嵯山さんの写真は葉先の一滴一滴の水滴とかに接写していくようなものでとっても美しいものです。
僕らも一滴一滴のしずくの音を録音していったのですごくいいコラボレーションができたなあと思ってます。
ということでこちらにて「屋久島~わたしの中の水とつながる~」絶賛発売中であります。
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