アナーキック アジャストメントのTシャツが復刻発売されました。といってもアナーキック アジャストメントって何?という方が多いと思いますので、今週はこのブランドにまつわるストーリーをご紹介させてください。
現在コネクテッドでも大好評を頂いているグラフィックウエアブランド、イマジナリーファンデーションのデザイナーであるニック・フィリップが最初に手がけたブランドがアナーキック・アジャストメントです。
今回のリリースは、ニック・フィリップのデザイナーとしての活動20周年を記念してのスペシャルリリースなのです。
時代は1980年代末、アナーキック・アジャストメントはサンフランシスコ在住のアラン・ブラウンが立ち上げたばかりのアメリカのブランドで、過激で暴力的な噂の絶えなかったBMXやスケートボードなどエクストリームシーンにポジティブなメッセージを発信する事を意図しており、若くて可能性のあるデザイナーを探していました。
アナーキックは無秩序を意味しアジャストメントは調整とか調和を表しており、相反する概念を持ってくることでこの世界のバランスを表現しようという試みです。
そんななかで白羽の矢が立ったのが当時まだロンドンに住んでいた10代のニック・フィリップでした。当時ニックがアートディレクターを務めたイギリスのカルチャーマガジン「READ & DESTROY」が注目されたのです。
アナーキックのメッセージ性の強いTシャツはこうして生まれ、ニックはTシャツが好評を博したことでアランに誘われてサンフランシスコに移住することを決心しデザイナーとしてのキャリアを本格的にスタートさせたのです。
ニックがアメリカにわたるとほぼ同時期に西海岸でもレイブカルチャーが全盛となり、90年代に入ってからのアナーキックは、エクストリームというより徐々にレイブシーンよりになり、意識の覚醒を促すようなメッセージとグラフィックが特徴になっていきました。
海外ではジーザス・ジョーンズ、ジ・オーブなどのアーティストが着用。日本でも早い時期から藤原ヒロシ、テイ・トウワ、立花ハジメなどのアーティストが雑誌で取り上げたり、日本のインターネットの普及に貢献した伊藤譲一氏が後押ししたことによってニック・フィリップは、アナーキックアジャストメントの顔としてその名を知られるようになっていったのです。
その後1994年にオープンしたアナーキックアジャストメントのオンリーショップが、現在のコネクテッドの出発点になっています。
今回復刻された3アイテムはいずれもニックのアナーキック時代のごく初期のものです。
織りネームにはロンドンカウンターカルチャーと記されている事からアメリカ移住前の制作と思われますし、裏にはMENTAL!と記してあるのはブランド名が政治的に誤解されることに対するエクスキューズだと思います。
テイストもレイブな雰囲気はまだなく、シャープなエッジ感が際立ったものになっていますが、メッセージと視覚的グラフィカルな要素のバランス感覚は、後のアナーキックにしても現在のイマジナリーファンデーションにしても通底するものが感じられると思います。
コネクテッドでは縁あって、ニックフィリップがその後手がけてきた全ブランドをご紹介してきましたが、正直言って今回のリリースは結構突然で驚きました。
コネクテッドとしてもオープン以来さまざまなテイストのブランドを紹介してきましたし、ニック・フィリップ自身もいろんな作品を発表してきていますが、今回のリリースは全てが始まる前の原点としてみていただければと思います。
今日ロンドンからご注文をいただいてそのお客様がyoutubeにアナーキックのビデオがあがってるのを教えてくれました。http://www.youtube.com/watch?v=EHs0Z2yI83E
投稿情報: mune | 2007年8 月 4日 (土) 19:01