今週は、いよいよ商品が入荷してきたウエアブランドImaginary Foundationのことを御紹介させてください。
コネクテッドでは明日からImaginary Foundationのアートワークやデザイナーのニック・フィリップの過去の作品などを展示していきます。
ニックはコネクテッドの出発点であるアナーキック・アジャストメントの初代デザイナーであるので、私にとってはとても縁深い人であり、このプロジェクトでまた久しぶりにコンタクトが生まれて時のめぐりの不思議を感じている次第なのです。
さて、それはさておきImaginary Foundationは実は一言では言い切れないブランドです。そこでみなさまにわかりやすくご説明するのに3つのストーリーを用意しました。
ストーリー1
まず最初はこのブランドのデザイナー、ニック・フィリップについて。
ニック・フィリップは1990年代頭にスタートしたサンフランシスコのストリートウエア、アナーキック・アジャストメントで主にグラフィックデザイナーと
してキャリアをスタートしています。アナーキック・アジャストメントはテクノとスケートの両方のシーンにまたがる支持を得たブランドで、アメリカ西海岸の
レイブカルチャーの発達とともに成長し、覚醒的なメッセージをグラフィックで発信していました。その後彼は水をテーマにしたh2o、インターネットの時代
の到来によっておきるシフトをテーマにしたshiftなどのブランドを立ち上げます。そして1999年にはNTTのメディアアートギャラリーICCで彼の個展が
開かれたり、OMレコードからDJ MIX
CDも発表し、マルチメディアアーティストとしての評価を得ました。また、2000年にはCCPのスタイリッシュなボディと彼のグラフィックがコラボレー
トしたブランドoptimalなども誕生しています。コネクテッドは彼の手がけたウエアブランドは全て紹介してきていますが、一貫しているのは、一目見て
想像力をかきたてられるビジュアルがあり、そこに常にユーモアやウイットに富んだポジティブなメッセージが添えられているところです。
Imaginary Foundationはそんな彼の最新プロジェクトです。
ストーリー2
ストーリー2はImaginary Foundationについてです。
Imaginary
Foundationの創設者は名前は公には伏せられていますが、1931年スイス生まれで、1920年代のヨーロッパの芸術運動ダダイズムの提唱者の父
をもっています。彼はロンドン、ニューヨークおよびパリでバックミンスター・フラーなどと勉学をともにしたり、フルクサス・ムーブメントなどに参加した経
験を経て持続可能な社会モデルの研究をした後、1973年にジュネーブでImaginary
Foundationを設立しました。この人は25の世界的な特許を取得し、28冊の著書を書き下ろし、47の学位を授けられ、地球を57週も公演やコン
サルティングでまわっており、いま現在も70代で存命中とのことです。
Imaginary
Foundationは、クリエイティブで自由な発想を持つメンバーで構成された、実験的で新しいアイディアを提案するシンクタンクです。創設者の頭の中
には、人は本質的にエコロジーマインドを持つものであり、想像力や直感、霊感などはサイケデリックのベースとなるものだという考えがありました。このファ
ンデーションは独特のセンスを持ったコミュニティーで、何年もの時を経てさまざまな分野のクリエイティブな人々にとって実験や発明を引きおこす強力な触媒
として働き、結果的に各方面に爆発的な影響力を及ぼすようにまでなりました。
ストーリー3
そして最後は、ニック・フィリップのとImaginary Fooudationの関係についてです。
これについては、ニューヨークのアート&カルチャーマガジンresの今年の4月号で記事が掲載されているので転載してご紹介します。
2年前にニック・フィリップのところに、スイスの堅苦しいインテリ達がその哲学をポップカルチャーの産物であるTシャツとしてビジュアル的に翻訳してくれ
るデザイナーを探しているというEメールが舞い込んだときに、彼がとても慎重になったことを責めることはできないだろう。
しかし、この問い合わせは結果的にニックにとってとても幸運なものとなった。
彼はいまや、このグループのシュールリアリズムに影響されたTシャツを多産するデザイナーとなり、 そのTシャツはいまや、なまいきなアカデミックオタクたちのマストアイテムとなり、ストリートウエアとしても熱狂的な人気を誇っているのだ。
「Imaginary Fooudationは今までアートワークやデザインプロジェクトについて何年も暖めていたことを思いっきり活性化してくれたんだよ。」とニック。
この哲学者達が未来を予測したり、コンサルティングをしたり、新しいアイディアや持続可能な社会を模索しているかたわらで、ニックはウエアの生産においての責任をもち、公の顔としての役目を果たしている。
二者のコミュニケーションは奇妙だ。彼は老ディレクターと2度ほど電話で話したのみで後はほとんどがEメールだという。それでも彼には、
Imaginary
Fooudationのヘッドクオーターのブレーンストーミングから生まれる、人を動かさずにはおかないクレバーなフレーズを、芸術的に磨きのかかったも
のにし、元気や自由な浮遊感があってみたこともないようなイメージにするのに充分らしい。
「彼らは全ての現実はわれわれの意識によって共同で作り出されているということを芸術的に表現したいんだ。僕らはみんな一緒になって、集合的無意識でこの現実を作っているんだよ。」
しかし、それでも一つの疑問残る。なぜ、この深遠な思索者たちは、(Tシャツという)実に普通でほぼ間違いなく飽和したメディアを通して、ユースマーケットに冒険しだしたのだろうか。
老ディレクターは一度ニックに説明したことがあるという。
「彼はいった、ストリートウエアはトロイの木馬(有名なコンピューターウイルスのこと)のようなものだと。イマジナリー・ファンデーションは意味があるに
せよ無いにせよキッズがイメージに対してはとてもオープンだということに興味がある。だったら意味をもったものを彼らに供給したらどうなるだろうと。これ
は一種の実験なんだ。」
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